指定校推薦を解説!評定平均の出し方・上げ方や入試方法について

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選べる学校や入れる人数に制限があるとはいえ、合格率が高い指定校推薦は、自分の希望する条件と合えば受験生にとって魅力的な制度です。指定校推薦といえば、重要となるのが「評定平均」であるというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、具体的には仕組みを理解していない人もいることでしょう。そこで、この記事では、評定平均の上げ方や算出方法、指定校推薦の入試方法などについて詳しく解説します。

1.評定平均って?どれくらいあればいいの?

指定校推薦を検討しているのであれば、そもそも評定平均とはどのようなものであるかをきちんと理解しておくことが必要です。そこで、まずは、評定平均の計算方法や必要な数値、数値の上げ方などについて具体的に解説します。

1-1.評定平均とは?どの期間を計算するの?

指定校推薦は、大学から指定された学校の生徒だけを対象とした出願制度です。指定校の生徒の希望者であればすべての学生が出願できるわけではなく、一つの学校に対して1~3名程度と人数が制限されています。そのため、まずはこの少数の募集枠に入れるように、学校内で行われる選考に通過することが最も重要な課題です。そして、校内選考の際には、「評定平均」が重視されます。

評定平均は、高校生活の3年間における学習成績を数値化したものです。数字で表すことで、学生が学校生活をどのように頑張ったかについて、他生徒と比較しやすくしています。推薦入試の対象となるのは、高校1年生の1学期~高校3年生の1学期までの評定です。推薦を受けられる基準は大学によって異なり、さらに、志望する学部によっては学部に関わる教科の評定平均値に特別な条件が示されている場合もあります。

1-2.評定平均の計算方法

評定平均を計算する方法に複雑なことはなく、非常にシンプルです。すべての科目の成績を足して、科目数で割ったものが評定平均となります。合計する成績に含まれるのは、高校1年生の1学期~高校3年生の1学期までに履修した全科目の評定です。2期制を導入している高校であれば、高校1年生の前期~高校3年生の前期までの成績が対象となります。評定とは、成績を教科ごとに5段階で表したものです。学校によっては10段階に分けて評価している場合もありますが、その場合でも、指定校推薦の評定平均を出す際には、5段階評定に換算しなおします。成績の合計数により割り切れないときには、小数点以下第2位で四捨五入するのがルールです。

1-3.どれくらいあればいいの?

指定校推薦を受けるための評定平均の条件は大学によって異なりますが、各大学が定めている条件にさえクリアしていれば出願の対象者です。ただし、実際に出願するためには、校内選考があります。大学が提示している条件をクリアしていても、自分よりも高い評定平均の学生が校内に多くいれば、推薦枠に入れない可能性もあるのです。このようなことから、評定平均は高く取っておくのに越したことはありません。

評定平均の計算の対象となるのは高校3年生の1学期までです。しかし、競争に勝つためには、評価対象となる期間の合計において高い評価点を取っておく必要があります。高校1年生のときの成績が悪いと、3年生で挽回することは簡単ではありません。指定校推薦を考えているのであれば、高校1年生からコツコツと努力を積み上げて、評定平均を上げるようにしておくことがベストです。

1-4.評定の高低には何が影響しているの?評定を上げるには?

評定平均を出すために計算される学習成績には、学校で受けるすべての成績が含まれます。日々の小テストの成績も入るため、日ごろから気を抜かずに対応することが大事です。また、特に意識しておきたいのが定期テストです。定期テストの結果は、評定平均に直接影響を与える成績となるため、高校1年生の段階からしっかりと取り組まなければなりません。

さらに、評定平均の対象となる全教科とは英語や国語などの科目だけではなく、芸術や家庭科、体育なども含まれます。主要5科目と比べて、その他の科目は軽視しやすいものですが、評定平均に関わるものであることを忘れてはなりません。それどころか、これらの科目は、評定平均を上げるための対策となり得ます。主要5科目と比べて、テストの範囲が狭いため、比較的評定を上げやすいからです。

1-5.A~Eに分けられる「学習成績概評」って?

推薦入試で大事な資料となる調査書には「学習成績概評」を記載する欄があります。学習成績概評とは、文部科学省により定められているもので、評定平均値から高校3年間の成績をA~Eの5段階に区分したものです。具体的な区分は、Aが5.0~4.3と最も高い評定平均値を示し、続けて、Bが4.2~3.5、Cが3.4~2.7、Dが2.6~1.9、Eが1.8以下となっています。さらに、Aには、Ⓐという表記もあり、Aのなかでも特に優秀であることを示す評価です。Ⓐは学校長が好成績であることを認めた生徒にのみ与えられるもので、国公立のなかには推薦入試の出願条件として挙げているところもあります。

2.指定校推薦の仕組み

指定校推薦は、校内推薦枠に入ることさえできれば通常ならほぼ合格できるため、受験生にとっては心強い制度です。ただし、指定校推薦で入学する場合、出身高校の代表であるという大きな責任が伴います。指定校推薦による入学者が、入学後に、授業態度が悪かったり、成績不振になったりすれば、出身校の後輩たちに迷惑をかけてしまう可能性があることをきちんと自覚しなければなりません。

指定校となるためには大学から指定を受ける必要があり、指定を受けられるかどうかは大学から高校に対する信頼感が大きく関わっています。信頼感が減れば、翌年以降から指定校推薦の枠が減らされてしまったり、場合によっては打ち切られてしまったりする場合もあるのです。入学後だけではなく、受験の段階でも気を付けておくべき点があります。入学することを前提として推薦を受けるにもかかわらず、他の大学と併願したり、合格後に取り消しをしたりすることは原則として許されていません。

3.指定校推薦の流れ

指定校推薦の流れは志望する大学や学部などによって異なりますが、始まるのは一般の入試よりも先であることが通常です。募集は各高校で行われ、公開時期は6~8月ごろとなっています。その後、応募者の校内選考が行われて、推薦される生徒が決定されるのは早ければ7月ごろ、一般的には10月ごろまでです。推薦を受けた生徒は、10~11月ごろに大学に出願し、小論文や面接など大学が決めた試験を受けたら、12月ごろに正式な合否が出されます。

指定校推薦の募集が締め切られてしまうと、他の入試制度で挑戦することになります。自分の高校に、希望している大学の指定校推薦枠がある場合には、遅れないように行動を取りましょう。まずは、担任の先生に指定校推薦を利用したい旨を伝えておくことが必要です。ただし、校内選考の基準は高校独自で決めることができる設定です。審査過程や基準は非公開となっているので、先生に相談しても詳細を知ることはできません。どのような審査であっても後悔することがないように、高校1年生から高い成績を残せるよう、しっかりと準備しておくようにしましょう。

4.指定校推薦でも大学独自の試験を受けなければならないことも

大学の推薦入試には大きく指定校推薦と公募推薦の2種類があり、2021年度の入試からはどちらも「学校推薦型選抜」に分類されるようになります。従来は、面接だけしか受けないケースが多い傾向にありましたが、変更後は、小論文や口頭試問、各教科のテストなどの大学の評定あるいは大学入学共通テストのいずれかが必須となります。そこで、ここでは、指定校推薦でも受けなければならない可能性のある試験について解説します。

4-1.志望理由などによる書類選考

そもそも、指定校推薦の場合、大学や学部への適性や志望動機などから学生を評価するAO入試のような試験は行わないことが一般的です。しかし、数は少ないながらも、なかには、書類選考で志望理由書を課す大学もあります。大学によっては、申込書に志望動機や自己推薦書を記載する欄を設けている場合もあるため、記載の指定があった場合には、大学を志望する理由や、その学部や学科をなぜ選んだかをしっかりと考えることが必要です。志望理由を考える際には、大学のホームページや案内書などで紹介されている大学独自の特色を参考にするとよいでしょう。

4-2.小論文

小論文は「課題論述型」と「文章読解型」の2つのタイプの出題であることが一般的です。課題論述型は与えられたテーマについて書くもので、文章読解型は長文が記載されていて、それに関連するテーマについて書きます。テーマは、学校や学部ごとにさまざまで、専攻分野に関連した内容である場合もあれば、時事問題が取り上げられることもあります。

ただし、どのような出題内容であっても、基本的な書き方に変わりはありません。構成は4つのステップで構成を立てることがおすすめです。まず、書き始める前に全体の段落構成を決めます。段落構成には、起承転結で話を進める方法や、結論を文章全体の最初と最後の両方に書き記す双括型などいろいろあるため、自分が書きやすい方法を選びましょう。次に考えるのは、テーマに対する自分の意見です。出題されている問題について自分は賛成か反対かなどの考えを整理し、設問に沿って意見を書いていきます。続けて、書いた意見に対する具体的な根拠を説明する文章を盛り込み、最後に、なぜその根拠を挙げることができるのか、背景にある要因を加えて、文章の説得力を高めておきます。

4-3.面接

面接のスタイルは、個人またはグループ面接で、事前に提出した書類の内容をもとに質疑応答が行われます。面接で質問されることが多いのは、なぜその学校や学部を選んだのかといった志望理由や自己PRです。学力では判断しにくい、学生本人の人間性や特有の性質、大学進学への意欲などを見極めるために質問されます。また、理系の大学や学部の場合には、専門分野に関する基本的な知識や考えなどが問われることもあるため、定番の質問と併せて事前に準備しておくようにしましょう。

5.他の入試制度との違い

入試には、指定校推薦の他にもさまざまな制度があります。そこで、最後に、推薦入試と他の入試制度との違いについて、制度ごとに解説します。

5-1.公募推薦との違い

推薦入試のもう一つの方法である公募推薦との違いは、応募範囲です。指定校推薦は、大学が指定した高校の生徒しか出願することができません。しかし、公募推薦は、大学が定めた出願条件をクリアしていて、高等学校長の推薦さえあれば、高校の制限はなく、誰でも出願するチャンスがあります。さらに、既に高校を卒業している浪人生の出願を認めている大学もあるのです。

また、公募推薦には大きく一般推薦入試と特別推薦入試の2種類があり、自分をアピールしやすい方法で出願することができます。成績が良い学生なら、比較的募集定員が多く、成績基準を設けているケースが多い公募制一般推薦入試が有利です。一方、学業以外で学校生活に取り組んだ実績がある学生なら、委員会活動やボランティア、地域活動、スポーツや文化活動での優秀な成績などがアピールとなる公募制特別推薦入試が適しています。

5-2.AO入試との違い

AO入試と指定校推薦の主な違いは、評価の対象と推薦の有無、入試のスケジュールの3つです。指定校推薦では学習成績が重要となりますが、AO入試では主にアドミッション・ポリシーに沿った人物評価により合否が決められます。アドミッション・ポリシーとは大学が求める学生像で、学校の方針と学生の興味関心や考え方が合っているかの重要な判断材料となるものです。

また、推薦の有無については、指定校推薦は必要であるのに対して、AO入試では推薦不要となっています。さらに、スケジュールにおいては、AO入試のほうが指定校推薦よりも入試の実施時期にばらつきがあるのが特徴です。推薦入試は一般的に10~11月ごろに集中して実施されますが、AO入試は8~2月の期間で各大学の入試が行われています。

評定平均はすぐに上げることはできない!

指定校推薦を受ける際に重要となる評定平均は、後から挽回しようと思っても簡単に評定を上げることはできません。過去の積み重ねが大事となります。そのため、指定校推薦を検討しているのであれば、高校に入学したときから準備を始めることが大切です。1年生のときからコツコツと努力を続けて高い成績を維持し、評定平均を上げるようにしておきましょう。

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