学歴ロンダリングとは?メリット・デメリットや成功する人の特徴を紹介

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大学受験を控える皆さんの中には「学歴ロンダリング」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。学歴ロンダリングは、上手くいけば最終学歴を上げることができ就職にも影響することがあります。この記事では、学歴ロンダリングの意味やメリット・デメリット、学歴ロンダリングで就活に成功する人の特徴について紹介していきます。

1.学歴ロンダリングとは

学歴ロンダリングとは、大学から大学院に進学するときに、自分が在籍する大学の大学院ではなくさらに上位の大学院へと進学することで、「学歴ロンダ」「院ロンダ」と呼ばれることもあります。代表例としては地方の国公立大学から旧帝大の大学院への進学や、marchから東大の大学院への進学などが挙げられます。ロンダリングには「洗浄する・洗濯する」といった意味があり、不正に入手した金を合法的に稼いだものであるようにみせかける犯罪行為「マネーロンダリング」でよく知られています。

そこからロンダリングは「ごまかす」「出所をぼやかす」といった意味でさまざまな分野で流用されています。学歴ロンダリングは「最終学歴を格上げしてごまかす」行為を指すネットスラングとして普及していますが、他の大学院入試を受け入学すること自体は悪いことではないため、一般的にはマイナスなイメージではありません。

2.学歴ロンダリングをする学生の割合

東京理科大学の公表しているデータによると、2019年3月卒業の学生のうち、東大・東工大・京大の院に進学したのは約270人で、大学院進学者のうち学歴ロンダリングをした学生の割合は約16%でした。また、2019年の東京大学の大学院入学状況によると、理学系では350人中188人、工学系では867人中293人が他大学から入学しており、入学者全体のうち約半数が外部進学生となっています。これらのデータから、学歴ロンダリングをする学生は決して少なくないということがわかります。

3.学歴ロンダリングをする理由

学歴ロンダリングをする理由は人によってさまざまですが、よくあるのは「やりたい研究ができる大学院に進学したかった」「学歴コンプレックスを持ちたくなかった」「就活を有利に進めたかった」といった理由です。主に「研究」と「就活」という2つの目的で学歴ロンダリングをする人が多く、就活においては学歴フィルターを突破する可能性が高くなる、研究室のコネで就職できるという考えが主流です。また、偏差値の高い有名大学であれば研究費も潤沢である場合が多いため、設備が整った実験室でやりたい研究ができる可能性が高くなるでしょう。

4.学歴ロンダリングのメリット

学歴ロンダリングには、ただ高い最終学歴を残せるだけではなくさまざまなメリットがあります。ここでは、学歴ロンダリングをすることの3つのメリットについて説明していきます。

4-1.就職の選択肢が広がる

学歴ロンダリングのメリットとしてまず考えられるのは「就職の選択肢が広がる」ことです。学歴ロンダリングによって自分の卒業大学よりも偏差値が高く有名な大学院に進めば、それが最終学歴となります。一般的に、企業の採用担当者は卒業学部ではなく最終学歴である大学院に注目するため、学歴において好印象を残すことができるでしょう。中には学歴フィルターがあると言われている企業もありますが、学歴ロンダリングによって最終学歴をランクアップさせておけば学歴で落とされる可能性は低くなります。

また、学歴ロンダリングをしている学生は向上心がある、努力できる人と高く評価されるケースもあるのでアピールポイントにもなるでしょう。さらに、有名大学ほど推薦枠が多く研究室の教授やOBを通じた就職もできるため、希望通りの就職ができる可能性が高くなります。そのため、博士課程への進学などを考えていない場合は学歴ロンダリングをした方が将来の可能性が広がると言えるでしょう。ただし、学歴は評価対象の一つであり最終的には本人の能力や適性が重要になってくることも理解しておきましょう。

4-2.入試に比べて試験の難易度が低い

学歴ロンダリング2つ目のメリットは「大学入試に比べて試験の難易度が低い」ことです。一般的に大学院入試はその大学の入学試験よりも難易度が低い場合が多いため、大学受験では手の届かなかったレベルの大学院にも入学できる可能性が大いにあります。大学入試では、国立であればセンター試験も含めて文系から理系まで多数の科目を勉強する必要がありますが、大学院試験は英語と専門科目など多くても4つ程度です。

また、過去問と似通った問題が頻出するため、しっかりと準備をしていけば合格できる可能性も高くなるでしょう。ただし、有名な大学院であればライバルのレベルも高くなり内部生より不利な状況に置かれているため、相応の努力が必要であることも理解しておきましょう。

4-3.就活が目的であれば研究内容はあまり関係ない

学歴ロンダリングをすると、基本的に学部生時代とは研究内容が変わることが多いですが、就活が目的であれば研究内容はあまり関係ありません。新卒の就活では企業は主に学生の主体性やポテンシャル、行動力などを見ているため、かなり専門性の高い技術職を除いて研究内容が重視されることは少ないです。研究内容そのものよりもどんな姿勢で取り組んでいるか、どれだけ研究内容を理解しているか、人に分かりやすく伝えられるかといった点が重要になってきます。

そのため、学歴ロンダリングによって研究内容が変わっても就活にはあまり悪影響はないでしょう。ただし、研究内容が直接影響しないとはいえ、一から新しい分野を学び就活できちんと説明できるレベルまで理解しておくことや、研究実績を作っておく必要があるため、内部進学者以上に努力する必要があります。

5.学歴ロンダリングのデメリット

メリットの多い学歴ロンダリングですが、良いことばかりではないため注意しなければなりません。ここでは、学歴ロンダリングをすることの3つのデメリットを紹介します。

5-1.人間関係を新たに構築する必要がある

学歴ロンダリングをすると、生活環境が変わることによって以前の研究室の知人とは疎遠になり、新しい研究室にも当然知り合いはいないという状況になるため、人間関係を新たに構築しなければなりません。内部進学であれば大学時代からの友人や研究室の先輩・後輩が身近にいますが、学歴ロンダリングをすると知らない人ばかりのコミュニティに飛び込まなければならず、すでに内部進学者同士の関係が確立したところに入っていくことになります。そのため、人見知りな人や人間関係を築くのが苦手な人にとっては苦しい時間になる恐れがあります。有名大学ほど外部からの進学者が多いので過度に心配する必要はありませんが、新しい研究室に馴染めるか不安な人は、事前に研究室を訪問して学生の雰囲気や外部から進学した人がどれくらいいるかなどを知っておくと良いでしょう。

5-2.失敗したときのリスクが大きい

大学入試よりも難易度が下がるとはいえ、大学院入試も失敗する可能性はもちろんあります。特に有名大学の大学院は志望者が多く、2019年の東京大学の大学院入学状況によると理学系は入学定員408人に対して志願者628人、工学系では入学定員619人に対して志願者1,575人、全体の倍率は2倍以上となっています。そのため、どうしても試験に落ちてしまう人が一定数出てくるということになります。

もしすべての大学院入試で失敗した場合、秋ごろから就職口を探す、翌年の入試のために留年するなどの方策を取ることになるでしょう。どうしても留年せずに大学院に入りたいという人は複数の大学院に併願しておくことや内部進学の道を残しておくことなど、失敗した場合の対処法を考えておくのが無難と言えます。

5-3.費用がかかる

学歴ロンダリングをすると就職や内部進学をする場合と比べて多くの費用がかかります。大学院入試の受験には、国立の場合でも1校あたり3万円程度の受験料がかかり、遠方から受けに行く場合は交通費や宿泊費のことも考える必要があります。合格した後も、新居探しや引っ越し代がかかることもあるでしょう。また、もともと学部卒で就職するつもりだった人が大学院に進学するとなれば、給料が得られないうえに、さらに入学金と2年分の学費がかかることになります。

ただ、大学院生は無利子の奨学金が借りやすく、在学中の実績によって奨学金の返還が一部または全額免除されることもあるため、費用が気になる人は奨学金制度について確認しておきましょう。

6.学歴ロンダリングで就活に成功する人の特徴

学歴ロンダリングをして就活に成功する人には、高学歴を得ただけで満足せず大学院でも引き続き努力ができることや、研究室訪問で入る予定の研究室を事前にしっかリ調べていること、研究が好きであることなどの特徴があります。学歴ロンダリングをすると就活に有利になると説明しましたが、学歴を手に入れたからといって希望通りの就職ができるとは限りません。学歴はあくまで判断材料の一部であり、書類選考などで有利になることはありますが最終的には本人の能力や適性、努力が重要になってきます。むしろ学歴が高いことによって「この学歴ならこれくらいはできるだろう」と求めるレベルも高くなるため、学歴に見合う能力を身に付けるため大学院ではそれまで以上に努力する必要があります。

また、他の研究室に移るということは新しいことを一から学び直すということです。似ている分野であっても研究内容が全く同じということはありえないので、研究ルールや実験方法なども含め、内部生に追いつくため相当な努力が必要になります。「学歴を得られればそれでいい」「楽がしたい」といった考えではなく、目的意識をもって進学先の大学院・研究室を決めた人ほど入学後も引き続き努力を続けられるため、就活もうまくいきやすいでしょう。さらに、学歴ロンダリングをした場合は新しい研究を始めてから1年程度で就活に臨むことになるため、それまでにある程度の結果を出してく必要があります。研究が好きで積極的に取り組む人であれば進学先でも研究で結果が出しやすいため、就活での成功につながる可能性が高いでしょう。

学歴ロンダリングするかどうかは慎重に決めよう

最終学歴をランクアップさせることができる学歴ロンダリングには、就職の選択肢が広がる、大学入試よりも難易度が低いなどのメリットがありますが、人間関係を一から築かなければいけない、費用がかかるなどのデメリットもあります。また、進学後も努力し続けなければならないため、ただ「楽して高学歴を手に入れたい」という考え方は危険です。学歴ロンダリングするかどうかは、その後の進路を含めて慎重に決めるとよいでしょう。

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