補欠合格の意味や仕組みとは?国公立・私立大学の違いや注意点を解説

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大学入試の勉強をしていると、「補欠合格」という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。ただ、言葉そのものは知っていても「どういう仕組みなのか正確にはわからない」というケースも少なくありません。補欠合格は、大学によって扱いが異なる場合もあり、混乱しないためにも正しい仕組みを理解しておくことが大切です。今回は、補欠合格の意味や仕組み、注意点など気になる点について詳しく解説していきます。

1.そもそも補欠合格とは?

補欠合格の正確な意味がわからず、「結局合格なの?」「不合格なの?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。そもそも補欠合格とはどういったものなのか正しく理解するために、まずは基本的な知識について紹介します。

1-1.補欠合格の仕組み

大学入試では、得点など一定の基準をクリアした人が合格します。本来であれば合格した人がすべて入学するはずですが、ほかの大学への入学を選んだり家庭の事情があったりして、入学を辞退する人も珍しくありません。このような場合、大学に入学できる人の枠に空きが出てしまうため、大学は追加で入学できる可能性のある人を選びます。この「追加で入学できる可能性のある人」が補欠合格者であり、正規の合格者のうち入学を辞退した人の数によっては入学が可能になるのです。

ただし、補欠合格したからといって必ずしも入学できるとは限りません。そもそも正規の合格者があまり辞退しなければ枠が空きませんし、枠が空いても成績の良かった補欠合格者から順番に合格し、自分には枠が回ってこない可能性もあります。あくまでも入学の可能性があるというだけで、入学資格が与えられたわけではないのです。まず、補欠合格の枠に入り、実際に入学枠に空きが出ると入学資格が得られ、その後にようやく繰り上げ合格して入学という流れになります。

1-2.正規合格や繰り上げ合格との違い

大学入試で合格と呼ばれるものには、詳しく見ると「正規合格」「補欠合格」「繰り上げ合格」の3つがあります。補欠合格は、上記で紹介した通りですが、正規合格と繰り上げ合格との違いがあまりわからない人も多いのではないでしょうか。正規合格は、その時点で無条件に大学への入学資格が得られるものです。大学には、あらかじめ決められた定員枠があり、入試の成績などをもとに入学できる人を選びます。まず、選ばれるのが正規合格者であり、正規合格者が辞退するなどして定員枠に空きが出た場合、追加で入学資格が与えられるのが補欠合格者です。

ただし、補欠合格者として選ばれた段階ではあくまでも「入学できる可能性」があるというだけであり、正式に入学資格が与えられているわけではありません。補欠合格者となった状態で実際に正規合格者が辞退すると、正式に入学資格が与えられ、繰り上げ合格者となります。つまり、補欠合格は正確には合格者ではなく、合格者になれるかもしれない状態だと覚えておきましょう。

1-3.国公立大学と私立大学の違い

補欠合格の扱いは、大学ごとに異なりますが、国公立大学と私立大学で大きく変わるのでチェックしておきましょう。まず、私立大学では正規合格者と同じように、補欠合格者についても合格発表をするケースが多い傾向です。一般的には、正規合格者と同時、または正規合格者の1~2週間後に発表されます。私立大学は、滑り止めとして受験する人も多く、入学を辞退する正規合格者も少なくありません。このため、定員枠の空きに備えて補欠合格者を多く出す傾向にあり、国公立大学に比べて補欠合格者になれる可能性は高いでしょう。

これに対し、国公立大学では補欠合格者を発表せず、定員枠に空きが出たら成績順に繰り上げ合格の連絡をするケースが一般的です。この場合、「補欠合格の連絡=繰り上げ合格」となるため、国公立大学では繰り上げ合格と補欠合格が同じ意味で呼ばれることもあります。

2.補欠合格の通知方法・発表時期・対象人数

補欠合格になると大学から連絡が来ますが、その連絡内容は各大学で異なります。次は、補欠合格の通知方法や発表時期、対象人数などについて見ていきましょう。

2-1.通知の方法

大学入試の合格発表といえば、大学構内の掲示板に紙ベースで貼り出されるスタイルが一般的でした。現在でも紙ベースで発表するところが多いですが、同時にほとんどの大学ではホームページ上でも発表されています。また、大学入試を受験する際に大学の専用ページに自分の情報を登録し、そこから合否を確認する場合もあるでしょう。補欠合格についても、ホームページ上で行われるのが一般的です。しかし、中には実際に繰り上げ合格になったタイミングで電話・書類などで連絡してくれる大学もあるので確認してみましょう。

また、私立大学の中には、補欠合格の合否だけでなく順位もあわせて発表するところもあります。補欠合格は成績の高い人、つまり順位が上の人から繰り上げ合格になるケースが多いため、順位を発表することで自分が繰り上げ合格になる可能性をある程度予想できるのです。もちろん、順位が上だったからといって、確実に繰り上げ合格できるとは限りません。逆に、正規合格の辞退者が多ければ、順位が低くても繰り上げ合格できる可能性があります。順位がわかったとしても一喜一憂せず、あくまでも目安としてとらえるようにしましょう。

2-2.発表の時期

私立大学では、補欠合格者についてもホームページ上などで発表することが多い傾向です。この場合、多くのケースで正規合格者と同じタイミングか、少し遅れて発表されます。また、正規合格者の辞退に合わせ、繰り上げ合格できる補欠合格者の数などは数回にわたって更新されるため、こまめにホームページを確認しておきましょう。例えば、慶応大学では補欠合格者の情報について、リアルタイムで更新しています。自分が繰り上げ合格できる可能性がわかりやすいので、非常に便利です。ほかにも、リアルタイムで情報を更新する大学はあるので、事前に確認しておきましょう。

国公立大学では、繰り上げ合格者にのみ連絡が来るので、補欠合格したかどうかを知ることは基本的にできません。また、繰り上げ合格の連絡は3月下旬ごろに来ることが多く、すでに進路を決めてしまっている受験生も多い傾向です。ほかの大学へ入学金を支払ったり、一人暮らしの準備をしたりする場合は、念のため国公立大学の補欠合格の可能性も考えて対応したほうが良いでしょう。

2-3.対象者の人数

補欠合格者の人数は、大学ごとに異なりますが、一般的には私立大学のほうが数が多く、1つの大学で数百人規模の補欠合格者が出るケースもあります。例えば、慶応大学の場合は2019年に700名近い補欠合格者が選ばれており、学部によってはその半分以上が実際に繰り上げ合格しました。学費などの面で国公立大学を目指す受験生が多く、私立大学と国公立大学に合格すると私立大学を辞退することも珍しくありません。このため、私立大学では正規合格者の辞退に備え、より多くの補欠合格者が選ばれる傾向にあります。

これに対し、国公立大学は受験日が統一されていることもあり、正規合格者の辞退が出にくいため、補欠合格者は非常に少ない傾向です。場合によっては、数人程度という大学もあり、補欠合格はあまり期待しないほうが良いでしょう。

3.補欠合格を待つ場合の注意点

大学入試を受けたものの正規合格にならず、補欠合格を待つ人もいるでしょう。この場合、ただ待っているだけでは補欠合格しているかどうかわからず、その後のスケジュールに影響する可能性もあるため注意が必要です。次は、補欠合格を待つ場合に気をつけるポイントについて見ていきましょう。

3-1.大学ごとのルールを調べておく

補欠合格の扱いは、各大学によって異なります。大学によっては、学部ごとにルールが変わることもあるので、十分に注意しなければなりません。どこも同じだと思い込んでいると、補欠合格者の発表や手続き期限などを見落としてしまう恐れもあります。受験した大学について、事前に補欠合格者の発表時期や通知方法などを調べ、情報を見逃さないようにしっかり待機しておきましょう。特に、前期後期に分けて複数の大学を受験している場合や、私立大学をいくつも受験しているような場合は混乱しやすいので注意が必要です。カレンダーや手帳などに情報を書き込み、こまめにチェックする癖をつけると良いでしょう。

3-2.繰り上げ合格の通知を見逃さない

繰り上げ合格の通知は、電話やメール、郵送書類などさまざまな方法で行われます。連絡に気付かず見逃してしまった場合、再度の連絡はしてもらえない可能性が高いです。通知には、繰り上げ合格の連絡だけでなく、入学に必要な準備や手続き、入学金の支払い期限などに関する情報が記載されていることもあります。通知を見逃すと入学に必要な手続きができず、最悪の場合はせっかくの繰り上げ合格の資格を失う可能性もあるのです。受験後は郵便受けや携帯電話の着信・メール履歴などをこまめにチェックし、通知を見逃さないよう十分注意しましょう。

大学のホームページ上で繰り上げ合格が発表される場合もあるので、待っているだけではなく自分から確認することも必要です。なお、国公立大学は補欠合格者に対して連絡をしないうえに、繰り上げ合格の連絡が3月下旬になる場合もあり、つい繰り上げ合格の可能性を忘れてしまうこともあります。補欠合格者の人数自体が少ないものの、3月下旬ごろに通知が来るかもしれないとしっかり覚えておきましょう。

3-3.過去のデータを調べておく

補欠合格者数は、大学により異なりますが、中には過去の補欠合格者数や、実際に繰り上げ合格した人の数を公表しているところもあります。このような情報が事前にわかっていれば、自分が補欠合格できる可能性や、繰り上げ合格の見込みなどをある程度分析することが可能です。大学入試の時期から入学する4月までは、期間が短くバタバタしやすいため、入学する大学選びや手続きをスムーズに進めるためにも、過去のデータを調べておくと良いでしょう。

補欠合格を正しく理解してしっかり準備しよう

補欠合格は、正式な入学資格を与えられたものではありません。しかし、正規合格の辞退者数によっては、繰り上げ合格できる可能性も残されています。補欠合格だからといって、がっかりするのではなく、来るかもしれない合格通知に備えてしっかり準備しておくことが大切です。補欠合格の扱いや、繰り上げ合格の通知方法などは大学ごとに異なるので、受験する大学の補欠合格について事前にしっかり調べておきましょう。

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